幽夢影 / 巻下・臭腐化して神奇と爲る
臭腐化爲神奇,醬也、腐乳也、金汁也。至神奇化爲臭腐,則是物皆然。
新字:臭腐化為神奇,醬也、腐乳也、金汁也。至神奇化為臭腐,則是物皆然。
書き下し
臭腐化して神奇と爲るは、醬なり、腐乳なり、金汁なり。神奇化して臭腐と爲るに至りては、則ち是れ物皆然り。
現代語訳
臭く腐ったものが変わって霊妙なものになるのは、醤、腐乳(発酵させた豆腐)、金汁(長く寝かせて作る薬)です。霊妙なものが変わって臭く腐ったものになるとなると、あらゆる物がそうなのです。
解説
『荘子』の「臭腐は復た化して神奇と為り、神奇は復た化して臭腐と為る」という言葉を、身近な食べ物で確かめてみせた一則です。醤や腐乳は、発酵によって腐敗の一歩手前から深い味わいを生み出したものです。金汁は、汚物を土中で長年寝かせて作る薬で、熱病に用いられました。腐ったものが尊いものに変わる例はこれくらいしかないのに、尊いものが腐ったものに変わる例は、どんな物にもあると張潮は言います。友人の袁中江は「神奇が臭腐にならないのは、黄金と本物の詩文だ」と評しています。良いものを保つことの難しさと、まれに逆転が起こる不思議を思わせます。失敗や挫折が時を経て糧になることもある、と読むこともできます。
この章句が説くこと
荘子発酵変化無常見方
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