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幽夢影 / 巻下・蠅蚊は人を以て何物と爲すか

蠅集人面,蚊嘬人膚,不知以人爲何物!

新字:蠅集人面,蚊嘬人膚,不知以人為何物!

書き下し

蠅は人の面に集まり、蚊は人の膚を嘬ふ、知らず人を以て何物と爲すかを。

現代語訳

蠅は人の顔にたかり、蚊は人の肌を刺して血を吸います。いったい人間を何だと思っているのでしょうか。

解説

身近な虫への苛立ちを、ふと視点を反転させて眺めた短い一則です。人間は自分を万物の霊長と思っていますが、蠅や蚊にとっては、止まる場所や餌にすぎません。友人の張竹坡は「これは『南華』、つまり『荘子』の精髄だ」と評しています。『荘子』は、人間の物差しを絶対とせず、ほかの生き物の立場から世界を見直す寓話に満ちています。尤悔菴は「私から見れば人だが、蠅や蚊から見れば生臭い肉と何が違おう」と言い、陸雲士は人にたかる人間の蠅や蚊を皮肉っています。自分が大事にされて当然だと思い込んでいないか、ちょっと立ち止まらせてくれる一則です。

この章句が説くこと

視点荘子自然謙虚諧謔

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