幽夢影 / 巻下・鄕居は須く良朋を得べし
鄕居須得良朋始佳。若田夫樵子,僅能辨五穀而測晴雨,久且數,未免生厭矣。而友之中,又當以能詩爲第一,能談次之,能畫次之,能歌又次之,解觴政者又次之。
新字:郷居須得良朋始佳。若田夫樵子,僅能弁五穀而測晴雨,久且数,未免生厭矣。而友之中,又当以能詩為第一,能談次之,能画次之,能歌又次之,解觴政者又次之。
書き下し
鄕居は須く良朋を得て始めて佳なり。田夫樵子の若きは、僅かに能く五穀を辨じて晴雨を測るのみ、久しく且つ數しばなれば、未だ厭を生ずるを免れず。而して友の中、又當に能く詩するを以て第一と爲し、能く談ずる之に次ぎ、能く畫く之に次ぎ、能く歌ふ又之に次ぎ、觴政を解する者又之に次ぐべし。
現代語訳
田舎暮らしは、よい友を得てこそすばらしいものになります。農夫や木こりは、五穀を見分けたり晴雨を予測したりすることはできても、長く頻繁に付き合っていると、どうしても飽きてきてしまいます。そして友の中でも、詩の作れる人を第一とし、話のうまい人がこれに次ぎ、絵のかける人がこれに次ぎ、歌のうまい人がさらにこれに次ぎ、酒席の遊びの作法に通じた人がさらにこれに次ぐのです。
解説
田舎に住むなら、話の合う友が欠かせないと説いた一則です。農夫や木こりは暮らしの知恵を持っていますが、文人の張潮にとっては、毎日の話題が作物と天気だけでは物足りなかったのでしょう。そこで友の値打ちを、詩・談話・絵・歌・酒席の遊びの順に並べています。觴政は酒令とも言い、宴席で詩句や遊びの取り決めをして盛り上げる作法のことです。友人の江含徴は「怪談を話せる者がさらに次ぐ」と付け足し、殷日戒は「富貴の門に出入りする者なら、でたらめ話のうまい者が第一だ」と皮肉っています。どこに住むかと同じくらい、誰と語り合えるかが、暮らしの質を決めるということです。
この章句が説くこと
交友田舎良友閑適風雅
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