幽夢影 / 巻下・詩酒無ければ山水も具文と爲る
若無詩酒,則山水爲具文;若無佳麗,則花月皆虛設。
新字:若無詩酒,則山水為具文;若無佳麗,則花月皆虚設。
書き下し
若し詩酒無ければ、則ち山水も具文と爲る。若し佳麗無ければ、則ち花月も皆虛設なり。
現代語訳
もし詩と酒がなければ、山水もただの形だけのものになってしまいます。もし美しい人がいなければ、花や月もみな空しい飾りになってしまいます。
解説
美しい景色も、それを味わう営みや人がいてこそ生きると説いた対句です。具文は形だけ整って中身のない文書のことで、ここでは意味をなさない飾りものを指します。山や川がどれほど美しくても、詩に詠み、酒を酌み交わして楽しむ人がいなければ、その美しさは誰にも受け止められません。花や月も同じで、ともに眺める美しい人がいてはじめて、風景が情趣を帯びると張潮は考えています。美は物そのものより、それを味わう人との関係の中で完成するという見方です。すばらしい場所に行っても、心を開いて楽しむ仲間や言葉がなければ味気ないものです。何をするかより、誰と、どう味わうかを大切にしたくなります。
この章句が説くこと
風雅詩酒山水花月情
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