幽夢影 / 巻上・雪に因りて高士を想ふ
因雪想高士;因花想美人;因酒想俠客;因月想好友;因山水想得意詩文。
新字:因雪想高士;因花想美人;因酒想侠客;因月想好友;因山水想得意詩文。
書き下し
雪に因りて高士を想ひ、花に因りて美人を想ひ、酒に因りて俠客を想ひ、月に因りて好友を想ひ、山水に因りて得意の詩文を想ふ。
現代語訳
雪を見ると世俗を超えた高潔な人を思い、花を見ると美しい人を思い、酒を飲むと義侠の士を思い、月を見るとよい友を思い、山水を見ると会心の詩文を思います。
解説
ものを見て何かを連想する心の動きを、五つ並べた一則です。雪の清らかさは高潔な隠士を、花は美人を、酒は豪快な侠客を、月は遠く離れた親しい友を、山水は心にかなった詩や文章を呼び起こします。どれも、目の前のものから目に見えない人や言葉へと思いが広がっていく流れです。月を見て友を思うのは、同じ月を離れた友も見ているという、古くからの詩の心にも通じます。友人の張竹坡は、情の深い言葉で泣かされると言い、尤謹庸は、得意の詩文から張潮その人を思うと応じています。何かを見て誰かを思い出せるのは、その人との結びつきが深い証です。
この章句が説くこと
風雅交友連想自然情
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