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幽夢影 / 巻下・一たび仕版に登れば之と相反す

擲「陞官圖」,所重在「德」,所忌在「贓」。何一登仕版,輒與之相反耶?

新字:擲「陞官図」,所重在「徳」,所忌在「贓」。何一登仕版,輒与之相反耶?

書き下し

「陞官圖」を擲つに、重んずる所は「德」に在り、忌む所は「贓」に在り。何ぞ一たび仕版に登れば、輒ち之と相反するや。

現代語訳

「陞官図」(官位昇進のすごろく)で賽を振るとき、重んじられるのは「徳」の目で、忌まれるのは「贓」(賄賂)の目です。それなのに、どうしてひとたび本物の官吏の名簿に載ると、たちまちその反対になってしまうのでしょうか。

解説

子どもの遊びと現実の官界の食い違いを、鋭く突いた一則です。陞官図は、官職を順に並べた盤の上で賽を振って昇進を競う、すごろくのような遊びです。賽の目には徳・才・功・贓などがあり、徳が出れば出世し、贓、つまり収賄が出れば降格や罷免になりました。遊びの世界では清廉が報われるのに、実際に役人になると賄賂が幅をきかせるという矛盾を、張潮は嘆いています。仕版は官吏の名簿のことです。友人の沈契掌は「官の名簿は紙のすごろく盤とは違うのだ」と苦笑しています。子どものころに教わった正しさを、大人の世界でも手放さずにいられるかが問われています。

この章句が説くこと

清廉官界賄賂治政初心

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