幽夢影 / 巻下・天は極めて做し難からず
天極不難做,只須生仁人君子有才德者二三十人足矣。君一、相一、冢宰一,及諸路總制撫軍是也。
新字:天極不難做,只須生仁人君子有才徳者二三十人足矣。君一、相一、冢宰一,及諸路総制撫軍是也。
書き下し
天は極めて做し難からず、只須く仁人君子の才德有る者二三十人を生ずれば足れり。君一、相一、冢宰一、及び諸路の總制・撫軍、是れなり。
現代語訳
天の役目を務めるのは、少しも難しいことではありません。仁徳があって才能と徳を備えた君子を、二、三十人生み出しさえすれば十分です。君主が一人、宰相が一人、人事をつかさどる大臣が一人、それに各地方の総督と巡撫がそれです。
解説
天下を治めるのに必要なのは、要所に置く少数の人物だけだという、大胆な一則です。冢宰は官吏の任免をつかさどる大臣、総制と撫軍は清代の地方長官である総督と巡撫を指します。張潮は、天がこれらの要職に仁徳と才能を兼ねた人を生み出せば、世の中はうまく治まると言います。裏を返せば、今の世が乱れているのは天の怠慢だという皮肉でもあります。友人の江含徴は「天がそんなにたやすく務まるなら、女媧に補修してもらう必要もなかった」と神話を持ち出してからかっています。陸雲士は「きわめてでたらめで、きわめて的確な話だ」と評しています。組織の良し悪しは、要となる少数の人選で決まるという教訓として読めます。
この章句が説くこと
治政人材要職天登用
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