幽夢影 / 巻下・詩も亦靈を酒に乞ふ
有青山方有緑水,水惟借色於山;有美酒便有佳詩,詩亦乞靈於酒。
新字:有青山方有緑水,水惟借色於山;有美酒便有佳詩,詩亦乞霊於酒。
書き下し
青山有りて方に緑水有り、水は惟だ色を山に借る。美酒有れば便ち佳詩有り、詩も亦靈を酒に乞ふ。
現代語訳
青い山があってこそ緑の水があります。水はただ色を山から借りているのです。うまい酒があればすぐによい詩が生まれます。詩もまた霊感を酒から乞い求めているのです。
解説
山と水、酒と詩という二組を並べて、美しいものが互いに支え合う関係を描いた対句です。水そのものに色はなく、緑に見えるのは周りの山の青さが映っているからだと張潮は言います。同じように、詩人の霊感も、酒の力を借りて湧いてくるというわけです。李白が一斗の酒で百篇の詩を作ったと言われるように、酒と詩の結びつきは中国文学の定番でした。友人の李聖許は「青山緑水があってこそ、美酒を酌み佳詩を詠める。詩も酒も山水から始まるのだ」と、さらに一段さかのぼっています。自分の力と思っているものも、実は周りから借りているものかもしれないと気づかせてくれます。
この章句が説くこと
山水詩酒風雅自然感謝
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