幽夢影 / 巻下・筍は蔬中の尤物爲り
筍爲蔬中尤物;荔枝爲果中尤物;蟹爲水族中尤物;酒爲飲食中尤物;月爲天文中尤物;西湖爲山水中尤物;詞曲爲文字中尤物。
新字:筍為蔬中尤物;荔枝為果中尤物;蟹為水族中尤物;酒為飲食中尤物;月為天文中尤物;西湖為山水中尤物;詞曲為文字中尤物。
書き下し
筍は蔬中の尤物爲り、荔枝は果中の尤物爲り、蟹は水族中の尤物爲り、酒は飲食中の尤物爲り、月は天文中の尤物爲り、西湖は山水中の尤物爲り、詞曲は文字中の尤物爲り。
現代語訳
筍は野菜の中の逸品です。荔枝は果物の中の逸品です。蟹は水に棲むものの中の逸品です。酒は飲食物の中の逸品です。月は天体の中の逸品です。西湖は山水の中の逸品です。詞や曲は文学の中の逸品です。
解説
各分野でいちばん心を奪うものを、七つ並べてみせた一則です。尤物は、ずば抜けて優れたもの、人を惹きつけてやまないものを指します。筍や荔枝や蟹は、文人たちが季節の味覚として愛した食べ物です。西湖は杭州の湖で、白居易や蘇軾が詠んだ山水の名所でした。最後に文学の中の逸品として、詩や文ではなく、歌われる文学である詞曲を挙げるところに、張潮の好みがよく表れています。友人の張南村は「『幽夢影』は書物の中の尤物だ」と持ち上げ、陳鶴山は「この一則こそ『幽夢影』の中の尤物だ」と応じています。自分にとっての分野ごとの逸品を挙げてみると、好みの輪郭がはっきり見えてきます。
この章句が説くこと
尤物風雅美食西湖好み
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『幽夢影』巻下・書有れば必ず當に讀むべし天下に書無ければ則ち已む、有れば則ち必ず當に讀むべし。酒無ければ則ち已む、有れば則ち必ず當に飲むべし。名山無ければ則ち已む、有れば則ち必ず當に遊ぶべし。花月無ければ則ち已む、有れば則ち必ず當に賞玩すべし。才子佳人無ければ則ち已む、有れば則ち必ず當に愛慕憐惜すべし。
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『幽夢影』巻下・物の能く人を感ぜしむる者物の能く人を感ぜしむる者は、天に在りては月に如くは莫く、樂に在りては琴に如くは莫く、動物に在りては鵑に如くは莫く、植物に在りては柳に如くは莫し。
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『幽夢影』巻下・詩酒無ければ山水も具文と爲る若し詩酒無ければ、則ち山水も具文と爲る。若し佳麗無ければ、則ち花月も皆虛設なり。
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