幽夢影 / 巻下・物の能く人を感ぜしむる者
物之能感人者,在天莫如月,在樂莫如琴,在動物莫如鵑,在植物莫如柳。
新字:物之能感人者,在天莫如月,在楽莫如琴,在動物莫如鵑,在植物莫如柳。
書き下し
物の能く人を感ぜしむる者は、天に在りては月に如くは莫く、樂に在りては琴に如くは莫く、動物に在りては鵑に如くは莫く、植物に在りては柳に如くは莫し。
現代語訳
人の心を動かすものとして、天にあっては月にまさるものはなく、音楽にあっては琴にまさるものはなく、動物にあってはホトトギスにまさるものはなく、植物にあっては柳にまさるものはありません。
解説
天・楽・動物・植物の四つの領域から、人の心をもっとも揺さぶるものを一つずつ選んだ一則です。月は遠く離れた人を思う詩に欠かせない題材で、琴は文人が心を託した楽器でした。鵑は杜鵑、つまりホトトギスで、蜀の王の魂が化したとされ、血を吐くように鳴く声が悲しみの象徴とされました。柳は別れの折に枝を折って贈る習わしから、離別の情と結びついています。選ばれた四つがいずれも、物悲しさや懐かしさを誘うものである点に、張潮の感性が表れています。心を動かされるものを自分なりに四つ挙げてみると、自分が何に弱いのかが見えてくるかもしれません。
この章句が説くこと
感性風雅月琴柳
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『幽夢影』巻下・梅は人をして高からしむ梅は人をして高からしめ、蘭は人をして幽ならしめ、菊は人をして野ならしめ、蓮は人をして淡ならしめ、春海棠は人をして艷ならしめ、牡丹は人をして豪ならしめ、蕉と竹とは人をして韻あらしめ、秋海棠は人をして媚ならしめ、松は人をして逸ならしめ、桐は人をして淸からしめ、柳は人をして感ぜしむ。
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