幽夢影 / 巻下・情の一字は世界を維持する所以
「情」之一字,所以維持世界;「才」之一字,所以粉飾乾坤。
書き下し
「情」の一字は、世界を維持する所以なり。「才」の一字は、乾坤を粉飾する所以なり。
現代語訳
情という一字は、この世界を支えているものです。才という一字は、天地を美しく彩っているものです。
解説
情と才の二字に、世界における役割を振り分けた対句です。乾坤は天と地、つまり世界全体を指します。情は人と人とを結びつける思いやりや愛情で、これがなければ家族も社会も成り立ちません。才は文学や芸術などの才能で、世界を豊かに飾るものです。土台を支えるのが情で、その上を彩るのが才という関係になっています。友人の呉雨若は「世界はもともと情の字から生まれた。夫婦があって父子があり、父子があって兄弟があり、兄弟があって朋友があり、朋友があって君臣がある」と評しています。仕事でも、能力は大切ですが、それを支える人と人との思いがあってこそ力を発揮できるのでしょう。
この章句が説くこと
情才人倫風雅世界
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