幽夢影 / 巻上・蝶は才子の化身
蝶爲才子之化身,花乃美人之別號。
新字:蝶為才子之化身,花乃美人之別号。
書き下し
蝶は才子の化身爲り、花は乃ち美人の別號なり。
現代語訳
蝶は才子の生まれ変わりであり、花は美人の別名です。
解説
蝶と花を才子と美人に見立てた、短く軽やかな対句です。蝶が花から花へ舞う姿は、才気にあふれ詩を詠み歩く才子を思わせます。花の華やかさと移ろいは、美人の姿と重ねられてきました。荘子の胡蝶の夢以来、蝶は自在な精神の象徴でもあり、才子の化身という言い方にはその響きもあります。友人の張竹坡は、蝶が花の房に入って衣が香りで満ちるのは、反対に金の屋敷に才子を住まわせるようなものだと洒落ています。自然の中の生き物に人の姿を重ねる見立ては、東洋の詩文の大きな楽しみの一つです。身の回りのものを何かに見立てる遊びは、発想を柔らかくします。
この章句が説くこと
風雅見立て才子佳人花自然
関連する章句
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『幽夢影』巻上・花を愛するの心を以て美人を愛す花を愛するの心を以て美人を愛すれば、則ち領略自ら別趣に饒かなり。美人を愛するの心を以て花を愛すれば、則ち護惜倍ます深情有り。
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『幽夢影』巻下・詩詞を以て心と爲す所謂美人なる者は、花を以て貌と爲し、鳥を以て聲と爲し、月を以て神と爲し、柳を以て態と爲し、玉を以て骨と爲し、冰雪を以て膚と爲し、秋水を以て姿と爲し、詩詞を以て心と爲す。吾間然する無し。
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『幽夢影』巻上・雪に因りて高士を想ふ雪に因りて高士を想ひ、花に因りて美人を想ひ、酒に因りて俠客を想ひ、月に因りて好友を想ひ、山水に因りて得意の詩文を想ふ。
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『幽夢影』巻上・花を賞するには佳人に對す花を賞するには宜しく佳人に對すべし、月に醉ふには宜しく韻人に對すべし、雪に映ずるには宜しく高人に對すべし。
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『幽夢影』巻上・花を藝ゑて以て蝶を邀ふ花を藝ゑれば以て蝶を邀ふべし、石を纍ぬれば以て雲を邀ふべし、松を栽うれば以て風を邀ふべし、水を貯ふれば以て萍を邀ふべし、臺を築けば以て月を邀ふべし、蕉を種うれば以て雨を邀ふべし、柳を植うれば以て蟬を邀ふべし。
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『幽夢影』巻上・人は以て癖無かるべからず花は以て蝶無かるべからず、山は以て泉無かるべからず、石は以て苔無かるべからず、水は以て藻無かるべからず、喬木は以て藤蘿無かるべからず、人は以て癖無かるべからず。