幽夢影 / 巻上・情は必ず癡に近くして始めて眞
情必近於癡而始眞,才必兼乎趣而始化。
新字:情必近於痴而始真,才必兼乎趣而始化。
書き下し
情は必ず癡に近くして始めて眞なり、才は必ず趣を兼ねて始めて化す。
現代語訳
情は、愚かなほど一途なところに近づいてこそ、本物になります。才は、趣を兼ね備えてこそ、自在な境地に至ります。
解説
情と才の本物のあり方を、癡と趣という言葉で言い当てた対句です。癡は、損得を忘れて何かに打ち込み、はたから見れば愚かに見えるほどの一途さのことです。本当の情とは、計算の入らないそうした思いの深さに表れるというわけです。一方、才能があっても堅苦しいだけでは人を動かせず、遊び心やおかしみを帯びたとき、才は型を超えて自在に働くと言います。化は、とらわれを脱して自由になることです。友人の尤慧珠は、自分は情が深くて癡なところはあるが、才に趣を持たせることはまだできないと謙遜しています。一途さと遊び心は、仕事でも人を惹きつける二つの力です。
この章句が説くこと
情才風雅一途遊び心
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