幽夢影 / 巻下・牛と馬とは一は仕へ一は隱る
牛與馬,一仕而一隱也;鹿與豕,一仙而一凡也。
新字:牛与馬,一仕而一隠也;鹿与豕,一仙而一凡也。
書き下し
牛と馬とは、一は仕へて一は隱るるなり。鹿と豕とは、一は仙にして一は凡なり。
現代語訳
牛と馬とは、一方は仕える者で、一方は隠れる者です。鹿と豚とは、一方は仙人のたぐいで、一方は凡俗のたぐいです。
解説
家畜や獣を、人の生き方の型に見立てた一則です。馬は役人の乗り物として官に仕え、牛は田野でのんびり暮らす隠者、と見立てたのでしょう。鹿は仙人が乗るものとされ、長寿の象徴でもありましたが、豚は食べて寝るだけの俗なものの代表でした。似た者どうしを並べながら、その境遇がまるで違うことを一言で言い当てています。友人の杜茶村は、火牛の計で戦場に駆り出された牛もいたと言い、周の武王が戦のあと馬を華山のふもとに放したのは、馬の強制的な引退だと笑っています。張竹坡は「子孫のために牛馬となるな」という句を引いて、出処進退の話として受け止めています。
この章句が説くこと
出処隠逸仕官諧謔見方
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