幽夢影 / 巻下・蛛は蝶の敵國
蛛爲蝶之敵國,驢爲馬之附庸。
新字:蛛為蝶之敵国,驢為馬之附庸。
書き下し
蛛は蝶の敵國爲り、驢は馬の附庸爲り。
現代語訳
蜘蛛は蝶にとって敵国であり、驢馬は馬にとって属国です。
解説
生き物どうしの関係を、国家の関係にたとえて言い表したわずか十字余りの一則です。蜘蛛は巣を張って蝶を捕らえるので、蝶にとっては不倶戴天の敵国にあたります。附庸は大国に従属する小国のことで、『孟子』にも見える言葉です。驢馬は馬に似ていながら小さく、馬の脇役のように扱われることから、馬の属国というわけです。自然界の関係を政治の言葉で語る諧謔が、この書らしい機知です。友人の周星遠は「思わず笑ってしまう妙論で、晋の人の謎かけにも劣らない」と評しています。身近な関係を別の言葉に置き換えてみると、物事の構図がはっきり見えることがあります。
この章句が説くこと
諧謔比喩自然見方機知
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