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幽夢影 / 巻下・蟬は蟲中の夷・齊爲り

蟬爲蟲中之夷、齊,蜂爲蟲中之管、晏。

新字:蝉為虫中之夷、斉,蜂為虫中之管、晏。

書き下し

蟬は蟲中の夷・齊爲り、蜂は蟲中の管・晏爲り。

現代語訳

蝉は虫の中の伯夷・叔斉(清廉を貫いた殷末の兄弟)です。蜂は虫の中の管仲・晏嬰(斉の名宰相)です。

解説

虫を歴史上の人物に見立てた、機知に富む短い一則です。伯夷と叔斉は、周の武王の天下を認めず、周の穀物を食べることを恥じて首陽山で餓死したと伝えられる清廉の象徴です。蝉は露だけを飲んで生きると考えられ、その高潔さが重ねられています。管仲と晏嬰は春秋時代の斉を支えた名宰相で、実務に長けた政治家の代表です。蜂は巣を営み、蜜を作り、整然とした組織で働くので、国を治める宰相にたとえられたのでしょう。友人の呉鏡秋は「蚊は虫の中の酷吏、蠅は虫の中の居候だ」と続けています。清廉に身を守る生き方と、実務で世を支える生き方の両方に価値があることを、楽しく教えてくれます。

この章句が説くこと

清廉経世伯夷管仲諧謔

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