酔古堂剣掃 / 集峭・綸を簾外に垂る
垂綸簾外,疑鉤勢之重懸;透影窗中,若鏡光之開照。
書き下し
綸を簾外に垂るれば、鉤勢の重ねて懸るかと疑ひ、影を窗中に透せば、鏡光の開き照すが若し。
現代語訳
簾の外に釣り糸を垂らしたように細い月がかかると、釣り針の形がもう一つ掛かったのかと思われ、その光が窓の中まで差しこむと、鏡の光がぱっと開いて照らしているようです。
解説
月の姿と光を、身近な道具にたとえて描いた賦の一節とみられます。綸は釣り糸、鉤は釣り針で、細い三日月は古くから鉤にたとえられてきました。簾の外にかかる三日月は、まるで釣り針をもう一つ掛けたようだというのです。後半は、月の光が窓から差しこむ様子を、鏡を開いたときのきらめきにたとえています。昔の鏡は蓋を開けて使ったので、開くという言い方をします。空の月を釣り針や鏡という手元の道具に引き寄せることで、遠い月がぐっと身近に感じられます。身近なものにたとえる工夫は、人に何かを伝えるときにも役立つ技です。
この章句が説くこと
月比喩風雅自然文学
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