幽夢影 / 巻下・胸に丘壑を藏せば城市も山林に異ならず
胸藏丘壑,城市不異山林;興寄煙霞,閻浮有如蓬島。
新字:胸蔵丘壑,城市不異山林;興寄煙霞,閻浮有如蓬島。
書き下し
胸に丘壑を藏すれば、城市も山林に異ならず。興を煙霞に寄すれば、閻浮も蓬島の如き有り。
現代語訳
胸の内に山や谷を抱いていれば、町の中も山林と変わりません。心の興を霞や靄に寄せていれば、この俗世も蓬莱の島のようになります。
解説
隠逸の境地は住む場所ではなく心の持ち方で決まると説いた対句です。丘壑は山と谷、ここでは胸中に描く山水の風景を指します。閻浮は仏教でいう人間の住む世界、蓬島は仙人が住むという海上の蓬莱山です。山奥に引きこもらなくても、心に山水を持っていれば、町中の暮らしが山林の暮らしに変わるというのです。陶淵明が「心遠ければ地自ずから偏なり」と詠んだ境地にも通じます。都会で忙しく働く人にとって、心に自分だけの静かな風景を持っておくことは、よい支えになります。場所を変える前に、見方を変えてみることを促してくれる一則です。
この章句が説くこと
隠逸心境閑適山林自然
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『幽夢影』巻下・書籍を以て友朋に當つ城市の中に居らば、當に畫幅を以て山水に當て、盆景を以て苑囿に當て、書籍を以て友朋に當つべし。
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