幽夢影 / 巻上・胸中の山水
有地上之山水,有畫上之山水,有夢中之山水,有胸中之山水。地上者妙在丘壑深邃;畫上者妙在筆墨淋漓;夢中者妙在景象變幻;胸中者妙在位置自如。
新字:有地上之山水,有画上之山水,有夢中之山水,有胸中之山水。地上者妙在丘壑深邃;画上者妙在筆墨淋漓;夢中者妙在景象変幻;胸中者妙在位置自如。
書き下し
地上の山水有り、畫上の山水有り、夢中の山水有り、胸中の山水有り。地上の者は妙丘壑の深邃なるに在り。畫上の者は妙筆墨の淋漓たるに在り。夢中の者は妙景象の變幻するに在り。胸中の者は妙位置の自如たるに在り。
現代語訳
山水には、地上の山水、絵の中の山水、夢の中の山水、胸の中の山水があります。地上の山水の妙味は、丘や谷が奥深いところにあります。絵の中の山水の妙味は、筆と墨が生き生きとしているところにあります。夢の中の山水の妙味は、景色が次々と移り変わるところにあります。胸の中の山水の妙味は、配置が思いのままになるところにあります。
解説
山水の楽しみ方を四つの次元に分けた一則です。実際の山水は、奥深い谷や峰そのものが持つ本物の迫力が魅力です。絵の山水は、画家の筆と墨がみずみずしく躍るところに味わいがあります。夢の山水は、次々と景色が変わる不思議さが面白く、胸中の山水は、自分の思うままに山や川を配置できる自由さが妙味です。淋漓は墨がしたたるほど勢いのあるさま、自如は思いのままであることです。友人の殷日戒は、詩文の中の山水はさらに言いようのないほど深く変幻すると添え、江含徵は顔の上の山水だけはいただけないと茶化しています。同じ一つのものも、見る次元を変えれば別の楽しみ方が見つかります。
この章句が説くこと
風雅自然絵画想像閑適
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