幽夢影 / 巻下・聞くべくして屈すべからざる者
鳥聲之最佳者,畫眉第一,黃鸝、百舌次之。然黃鸝、百舌,世未有籠而畜之者,其殆高士之儔,可聞而不可屈者耶。
新字:鳥声之最佳者,画眉第一,黄鸝、百舌次之。然黄鸝、百舌,世未有籠而畜之者,其殆高士之儔,可聞而不可屈者耶。
書き下し
鳥聲の最も佳き者は、畫眉第一、黃鸝・百舌之に次ぐ。然れども黃鸝・百舌は、世に未だ籠して之を畜ふ者有らず、其れ殆ど高士の儔にして、聞くべくして屈すべからざる者か。
現代語訳
鳥の声で最もよいのは画眉鳥が第一で、黄鸝(コウライウグイス)と百舌(よくさえずる小鳥)がこれに次ぎます。けれども黄鸝や百舌を籠に入れて飼う人は、世間にまだいません。これらはおそらく高潔な隠士の仲間で、声を聞くことはできても、屈服させることはできないものなのでしょう。
解説
鳥の鳴き声の優劣から、隠士の生き方へと話を移した一則です。画眉鳥は目の周りに眉を描いたような白い模様があり、美しくさえずるので籠で飼われる代表的な鳥でした。黄鸝や百舌も声が美しいのに、飼われることがないと張潮は言います。そこに、朝廷に招かれても仕えない高士の姿を重ねているのです。声は聞かせても身は屈しないという気概が、鳥に託されています。友人の陸雲士は「黄鸝は長く住むと顔なじみになり、別れ際にしきりに鳴く」という詩句を引き、籠で飼わなくても情は通うと評しています。才能を持ちながら、組織に縛られずに生きる人の魅力を思わせる一則です。
この章句が説くこと
高士隠逸鳥声自然節操
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