酔古堂剣掃 / 集景・一枕の春夢を喚び醒ます
清晨林鳥爭鳴,喚醒一枕春夢。獨黃鸝百舌,抑揚高下,最可人意。
新字:清晨林鳥争鳴,喚醒一枕春夢。独黄鸝百舌,抑揚高下,最可人意。
書き下し
清晨林鳥爭ひ鳴き、一枕の春夢を喚び醒ます。 獨り黃鸝百舌、抑揚高下、最も人の意に可なり。
現代語訳
すがすがしい朝、林の鳥たちが競って鳴き、枕の上の春の夢を呼び覚まします。なかでも高麗うぐいすと百舌の声は、抑揚があり高く低く響いて、もっとも人の心にかないます。
解説
春の朝、鳥の声で目覚める心地よさを描いた一則です。林の鳥たちが一斉に鳴いて夢を覚ますという前半は、唐の孟浩然の春暁、春眠暁を覚えず処処に啼鳥を聞く、を思わせる場面です。後半では、その中から黄鸝と百舌の声を選び出して讃えています。黄鸝は高麗うぐいすで、美しくさえずる鳥として詩によく詠まれます。百舌は、ここでは多くの鳥の声をまねてさえずる鳥を指すと考えられます。抑揚高下は、声の上がり下がり、高低の変化のことで、単調でない節回しこそ人の心を引きつけるというのです。目覚まし時計の代わりに、窓の外の鳥の声で目覚める朝を、たまには味わってみたいものです。
この章句が説くこと
自然閑適春朝鳥
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