幽夢影 / 巻下・冰裂紋は極めて雅なり
冰裂紋極雅,然宜細、不宜肥,若以之作窗欄,殊不耐觀也。(冰裂紋須分大小,先作大冰裂,再於每大塊之中,作小冰裂方佳。)
新字:冰裂紋極雅,然宜細、不宜肥,若以之作窗欄,殊不耐観也。(冰裂紋須分大小,先作大冰裂,再於毎大塊之中,作小冰裂方佳。)
書き下し
冰裂紋は極めて雅なり、然れども宜しく細なるべく、肥なるに宜しからず。若し之を以て窗欄を作れば、殊に觀るに耐へざるなり。(冰裂紋は須く大小を分つべし。先づ大冰裂を作り、再び每大塊の中に於て、小冰裂を作れば方に佳し。)
現代語訳
氷の割れ目のような模様は、たいへん雅なものです。けれども線は細いのがよく、太いのはよくありません。もしこれで窓の格子を作ったら、とても見られたものではありません。(氷裂紋は大小を分けるべきです。まず大きな氷裂を作り、さらにその大きな区画のそれぞれの中に小さな氷裂を作ると、ようやくよいものになります。)
解説
氷の割れ目を写した模様について、意匠の心得を述べた一則です。氷裂紋は、張った氷にひびが走ったような不規則な線の模様で、陶磁器の貫入や、窓の格子、敷き瓦などに用いられました。張潮は、その雅趣は線の細さにあり、太い線で大きく作ると野暮になると言います。自注では、まず大きな割れを作り、その中にさらに小さな割れを入れるという、入れ子の作り方まで指南しています。友人の江含徴は「これはまさに哥窯の紋様だ」と、宋代の名窯の器を思い出しています。美しさは細部の比率に宿るという見方は、今日のデザインにもそのまま通じるものです。
この章句が説くこと
意匠風雅細部工芸美
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