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幽夢影 / 巻下・花は其の落つるを見るべからず

花不可見其落,月不可見其沉,美人不可見其夭。

新字:花不可見其落,月不可見其沈,美人不可見其夭。

書き下し

花は其の落つるを見るべからず、月は其の沉むを見るべからず、美人は其の夭するを見るべからず。

現代語訳

花はその散るところを見てはなりません。月はその沈むところを見てはなりません。美しい人はその若くして亡くなるところを見てはなりません。

解説

美しいものの終わりを見たくないという、三つを並べた短い一則です。花の落花、月の入り、美人の夭折と、いずれも盛りのあとに来る衰えや別れを指しています。夭は若くして死ぬことです。張潮は美しさの頂点だけを心に留めたいと願い、終わりを見届ける悲しみを避けようとしています。友人の朱其恭は「それなら美人は白髪になり歯が抜けるまで見届けて、ようやく満足するというのか」と茶化しています。次の則で張潮は「見届けるべきもの」を挙げており、二つを並べて読むと味わいが増します。大切なものを失う場面から目をそらしたくなる気持ちは、今も昔も変わりません。
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この章句が説くこと

無常美人花月風雅情

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