幽夢影 / 巻上・斗方は止だ三種のみ取るべし
斗方止三種可取:佳詩文一也,新題目二也,精款式三也。
書き下し
斗方は止だ三種のみ取るべし。佳き詩文、一なり。新しき題目、二なり。精しき款式、三なり。
現代語訳
斗方(小さな正方形の書画)で見るに値するのは三種類だけです。一つは優れた詩文、二つは新しい題材、三つは精巧な書式です。
解説
斗方の値打ちを見分ける基準を三つ挙げた一則です。斗方は一尺ほどの正方形の紙に書いた書や画のことで、手軽なので文人が贈答や飾りによく用いました。張潮は、書かれた詩文そのものが優れていること、題材に新しさがあること、落款や配置などの形式が行き届いていることの三つのどれかがなければ、取るに足りないと言います。当時は、斗方を量産して名を売る斗方名士と呼ばれる人たちもいました。友人の閔賓連は、近頃は斗方名士がたくさんいるが、張潮の眼鏡にかなう者はいるだろうかと皮肉っています。中身、新しさ、仕上げの丁寧さの三つは、今の企画書や作品を見る物差しとしてもそのまま使えます。
この章句が説くこと
風雅書画審美創作品質
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『幽夢影』巻下・書有れば必ず當に讀むべし天下に書無ければ則ち已む、有れば則ち必ず當に讀むべし。酒無ければ則ち已む、有れば則ち必ず當に飲むべし。名山無ければ則ち已む、有れば則ち必ず當に遊ぶべし。花月無ければ則ち已む、有れば則ち必ず當に賞玩すべし。才子佳人無ければ則ち已む、有れば則ち必ず當に愛慕憐惜すべし。
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『幽夢影』巻上・必ずしも過ぎて求めず抄寫の筆墨は、必ずしも過ぎて其の佳を求めず、若し之を縑素に施さば、則ち其の佳を求めざるべからず。誦讀の書籍は、必ずしも過ぎて其の備はるを求めず、若し以て稽考に供さば、則ち其の備はるを求めざるべからず。遊歷の山水は、必ずしも過ぎて其の妙を求めず、若し之に因りて居を卜さば、則ち其の妙を求めざるべからず。
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『幽夢影』巻上・窗外より之を觀る窗内の人紙窗の上に於て字を作すを、吾窗外より之を觀るは、極めて佳し。
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『幽夢影』巻下・字畫を觀るも古人を尚友す獨り其の詩を誦し、其の書を讀むのみ、是れ古人を尚友するに非ず。即ち其の字畫を觀るも、亦是れ古人を尚友する處なり。
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『幽夢影』巻下・鄕居は須く良朋を得べし鄕居は須く良朋を得て始めて佳なり。田夫樵子の若きは、僅かに能く五穀を辨じて晴雨を測るのみ、久しく且つ數しばなれば、未だ厭を生ずるを免れず。而して友の中、又當に能く詩するを以て第一と爲し、能く談ずる之に次ぎ、能く畫く之に次ぎ、能く歌ふ又之に次ぎ、觴政を解する者又之に次ぐべし。
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『幽夢影』巻上・人は詩に入るべきを求む人は須らく詩に入るべきを求むべし、物は須らく畫に入るべきを求むべし。