幽夢影 / 巻下・花を種うれば其の開くを見るべし
種花須見其開,待月須見其滿,著書須見其成,美人須見其暢適,方有實際。否則皆爲虛設。
新字:種花須見其開,待月須見其満,著書須見其成,美人須見其暢適,方有実際。否則皆為虚設。
書き下し
花を種うれば須く其の開くを見るべく、月を待てば須く其の滿つるを見るべく、書を著せば須く其の成るを見るべく、美人は須く其の暢適するを見るべくして、方に實際有り。否らざれば則ち皆虛設と爲る。
現代語訳
花を植えたなら、その咲くところを見届けなければなりません。月を待つなら、その満ちるところを見届けなければなりません。書物を著すなら、その完成を見届けなければなりません。美しい人なら、その心ゆくまでくつろぐ姿を見届けなければなりません。そうしてはじめて実りがあるのです。そうでなければ、どれも空しい設けごとに終わってしまいます。
解説
前の則と対になり、今度は「見届けるべきもの」を四つ並べています。花の開花、月の満月、書物の完成、美しい人の心からの安らぎです。暢適はのびのびと心地よくしていることです。どれも手をかけて待ったものが、実を結ぶ瞬間だと言えます。張潮は、途中で投げ出せばそれまでの手間はすべて虚しい飾りになると言い切ります。友人の王璞菴は、前の則と互いに補い合っていると評しています。仕事でも、始めたことを形になるまで見届けることで、ようやく経験が自分の実力として残ります。種をまいたまま次々と手を広げていないか、振り返りたくなる一則です。
この章句が説くこと
成就著述花月立志忍
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『幽夢影』巻下・花は其の落つるを見るべからず花は其の落つるを見るべからず、月は其の沉むを見るべからず、美人は其の夭するを見るべからず。
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