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幽夢影 / 巻上・前人の未だ發せざるの論を發す

發前人未發之論,方是奇書;言妻子難言之情,乃爲密友。

新字:発前人未発之論,方是奇書;言妻子難言之情,乃為密友。

書き下し

前人の未だ發せざるの論を發して、方に是れ奇書なり。妻子の言ひ難きの情を言ひて、乃ち密友と爲す。

現代語訳

先人がまだ言っていない論を打ち出してこそ、はじめて奇書といえます。妻や子にも言いにくい胸の内を話せてこそ、親密な友といえます。

解説

本物の書物と本物の友の条件を、一句ずつで示した対句です。奇書とは珍しい書物ではなく、先人がまだ言っていない新しい見方を打ち出した書物のことです。密友とは、妻や子にさえ打ち明けにくい悩みや思いを話せる相手のことです。一方は世の人に向けて未知のことを言い、もう一方はただ一人に向けて言いにくいことを言うという、公と私の対比にもなっています。友人の陸雲士は、幽夢影が述べているのはどれも未だ発せられなかった論で、語っているのはどれも言いがたい情だと評し、この句はそのまま本書への題辞になると言っています。人と同じことを言わない勇気と、本音を話せる相手は、どちらも得がたいものです。

この章句が説くこと

交友読書密友独創学問

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