幽夢影 / 巻上・人は閒より樂しきは莫し
人莫樂於閒,非無所事事之謂也。閒則能讀書,閒則能遊名勝,閒則能交益友,閒則能飲酒,閒則能著書。天下之樂,孰大於是。
新字:人莫楽於閒,非無所事事之謂也。閒則能読書,閒則能遊名勝,閒則能交益友,閒則能飲酒,閒則能著書。天下之楽,孰大於是。
書き下し
人は閒より樂しきは莫し、事とする所無きの謂に非ざるなり。閒なれば則ち能く書を讀み、閒なれば則ち能く名勝に遊び、閒なれば則ち能く益友に交はり、閒なれば則ち能く酒を飲み、閒なれば則ち能く書を著す。天下の樂しみ、孰れか是れより大ならん。
現代語訳
人にとって閑暇ほど楽しいものはありません。それは何もすることがないという意味ではありません。暇があれば書物を読むことができ、名所に遊ぶことができ、ためになる友と交わることができ、酒を飲むことができ、書物を著すことができます。天下の楽しみで、これより大きなものがあるでしょうか。
解説
閑、つまり暇の本当の意味を説いた一則です。張潮の言う閑は、何もせずにぼんやりすることではなく、自分のしたいことに使える自由な時間のことです。読書、名所めぐり、よい友との交わり、酒、著述と、閑があってこそできる楽しみを並べ、これに勝る楽しみはないと言い切ります。友人の陳鶴山は、それならまさに最も忙しいところではないかと切り返し、黄交三は、閑の前に心を慎み整える修養があってこそ、この境地に至れると添えています。尤悔庵は、忙中に閑を盗むと言うが、閑を盗めるなら盗人にも道があると洒落ています。忙しさの中で、自分のための時間を確保することは、心の栄養になります。
この章句が説くこと
閑適読書交友時間余暇
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