幽夢影 / 巻上・直世界と横世界
史官所紀者,直世界也;職方所載者,橫世界也。
新字:史官所紀者,直世界也;職方所載者,横世界也。
書き下し
史官の紀す所の者は、直世界なり。職方の載する所の者は、横世界なり。
現代語訳
歴史を記す役人が書き留めるのは、縦の世界です。地理をつかさどる役人が書き載せるのは、横の世界です。
解説
歴史と地理を、縦と横の世界として言い分けた一句です。史官は朝廷で歴史を記録する役人で、昔から今へと時間の流れに沿って出来事を記すので、縦の世界を扱います。職方は周代の官名に由来する地理や地図をつかさどる役人で、同じ時代の各地の広がりを記すので、横の世界を扱います。時間と空間を縦横の二本の軸で捉える、すっきりとした見立てです。友人の袁中江は、役人たちが治めているのは斜めの世界だと皮肉り、尤悔庵は、天下で行われているのは混沌の世界だと応じています。物事を理解するとき、時間の流れと同時代の広がりの両方から眺めると、見落としが減ります。
この章句が説くこと
学問歴史地理視点時空
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