幽夢影 / 巻上・詩文の體は秋氣を得るを佳と爲す
詩文之體,得秋氣爲佳;詞曲之體,得春氣爲佳。
新字:詩文之体,得秋気為佳;詞曲之体,得春気為佳。
書き下し
詩文の體は、秋氣を得るを佳と爲す。詞曲の體は、春氣を得るを佳と爲す。
現代語訳
詩や文章の形式は、秋の気を帯びているのがよいのです。詞や曲の形式は、春の気を帯びているのがよいのです。
解説
文学の形式ごとにふさわしい気分を、季節の空気で言い分けた対句です。詩と文章は、秋の澄んだ空気のような引き締まった格調と、深い思索の味わいがあるのがよいと言います。一方、詞と曲はもともと歌として作られたもので、恋や宴を詠むことが多く、春の気のような華やかさや柔らかさがよく似合います。詞は宋代に栄えた長短句の歌詞、曲は元代以降の戯曲や散曲の歌です。友人の江含徵は、調べには悲痛なものもあるので、それに合わせるべきだと補い、殷日戒は、陶淵明の詩や欧陽脩の文は春の気で勝っているようだと反例を挙げています。何を書くかに合わせて文章の温度を選ぶことは、今の文書づくりにも生きる心得です。
この章句が説くこと
文学風雅四季文章詩
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