幽夢影 / 巻上・己を律するは秋氣を帶ぶべし
律己宜帶秋氣;處世宜帶春氣。
新字:律己宜帯秋気;処世宜帯春気。
書き下し
己を律するは宜しく秋氣を帶ぶべし、世に處するは宜しく春氣を帶ぶべし。
現代語訳
自分を律するときには、秋の気のような厳しさを帯びるのがよいのです。世の中で人と交わるときには、春の気のような温かさを帯びるのがよいのです。
解説
自分と他人とで、向き合う温度を変えよと説いた名高い対句です。秋の気は草木を引き締める厳しさ、春の気は万物を育てる温かさを表します。自分には厳しく、人には温かくという教えは処世の要で、日本でも佐藤一斎が春風をもって人に接し秋霜をもって自らをつつしむと説きました。張潮はそれを季節の空気にたとえ、ただの心得ではなく、身にまとう雰囲気として語っています。友人の胡静夫は、これは清廉で厳しい伯夷と、おおらかで和やかな柳下恵を一人にしたようなもので、ぜひ親しく教えを受けたいと評しています。尤悔庵は、皮裏春秋、つまり表に出さず心の中で是非を分けることだと添えています。人に厳しく自分に甘くなりがちなとき、思い出したい一句です。
この章句が説くこと
修身処世律己寛容四季
関連する章句
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『格言聯璧』接物類・己を律するには秋風を帶ぶ德盛んなる者は、其の心和平にして、人を見て皆取るべしとす、故に口中に許可する所の者多し。 德薄き者は、其の心刻傲にして、人を見て皆憎むべしとす、故に目中に鄙棄する所の者衆し。 己を律するには宜しく秋風を帶ぶべく、世に處するには須らく春風を帶ぶべし。
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