幽夢影 / 巻上・樓上に山を看る
樓上看山,城頭看雪,燈前看月,舟中看霞,月下看美人,另是一番情境。
新字:楼上看山,城頭看雪,灯前看月,舟中看霞,月下看美人,另是一番情境。
書き下し
樓上に山を看、城頭に雪を看、燈前に月を看、舟中に霞を看、月下に美人を看るは、另に是れ一番の情境なり。
現代語訳
高楼の上から山を眺め、城壁の上から雪を眺め、灯火の前で月を眺め、舟の中から夕焼けを眺め、月の下で美しい人を眺めるのは、それぞれまた格別の趣があります。
解説
同じものでも、どこから眺めるかで趣が一変することを語った一則です。高いところから見る山、城壁から見渡す雪景色、灯火越しの月、揺れる舟から見る霞(ここでは朝焼けや夕焼け)、月明かりの中の美しい人と、いずれも見る位置や光の加減が工夫されています。そのままの景色ではなく、一枚の額縁を通したときに生まれる味わいを、情境という言葉で言い表しています。友人の畢右万は、雨上がりに柳を見ると胸のほこりが洗い流されるようだと添えています。物事を見る角度や場所を少し変えるだけで、見慣れたものに新しい面が見えてきます。
この章句が説くこと
風雅閑適自然視点情景
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