幽夢影 / 巻上・催租の意を敗るを厭ふ
厭催租之敗意,亟宜早早完糧;喜老衲之談禪,難免常常布施。
新字:厭催租之敗意,亟宜早早完糧;喜老衲之談禅,難免常常布施。
書き下し
催租の意を敗るを厭はば、亟やかに宜しく早早に糧を完すべし。老衲の禪を談ずるを喜ばば、常常に布施するを免れ難し。
現代語訳
年貢の催促で興ざめさせられるのが嫌なら、さっさと早めに年貢を納めてしまうべきです。老僧が禅を語るのを聞くのが好きなら、しょっちゅうお布施をするのは避けられません。
解説
文人の暮らしの現実を、ユーモアをこめて描いた対句です。催租は税や小作料の取り立て、完糧は納めるべき穀物を納め終えることです。取り立ての役人が来ると風流な気分がすっかり台無しになるので、嫌なら先に納めてしまえというのは、実に理にかなった知恵です。後半の老衲は年老いた僧のことで、禅の話を聞くのが楽しみなら、その分お布施がかさむのも仕方がないと言います。楽しみにはそれなりの対価が伴うというわけです。友人の釈中洲は、居士たちの本音と、我ら僧家のひそかな願いが一筆で書かれてしまったと笑っています。嫌な用事は先に片づけ、楽しみには気持ちよく払うのが、心安らかに暮らすこつです。
この章句が説くこと
処世閑適禅布施段取り
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