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幽夢影 / 巻上・安閒の貧賤に若かず

富貴而勞悴,不若安閒之貧賤;貧賤而驕傲,不若謙恭之富貴。

新字:富貴而労悴,不若安閒之貧賤;貧賤而驕傲,不若謙恭之富貴。

書き下し

富貴にして勞悴するは、安閒の貧賤に若かず。貧賤にして驕傲なるは、謙恭の富貴に若かず。

現代語訳

富と地位があっても疲れ果てているなら、のんびりと心安らかな貧しさに及びません。貧しくても傲慢であるなら、謙虚で恭しい富貴の人に及びません。

解説

富貴と貧賤のどちらが良いかは、中身次第だと示した対句です。前半は、どれほど裕福でも心身をすり減らしているなら、ゆとりある貧しさのほうがましだと言います。後半は逆に、貧しいことを誇って人を見下すくらいなら、謙虚な金持ちのほうがよいと言います。境遇そのものより、その中でどう生きているかを問うているわけです。友人たちはこの句をめぐって、富貴で安閑なら自然と謙恭になる、富貴で謙恭だからこそ安閑でいられる、謙恭安閑であってこそ富貴を長く保てると、言葉を入れ替えて楽しんでいます。立場の上下より、ゆとりと謙虚さを失わないことが大切です。

この章句が説くこと

謙虚清貧富貴処世安閑

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