幽夢影 / 巻上・濁富を爲すは淸貧を爲すに若かず
爲濁富不若爲淸貧,以憂生不若以樂死。
新字:為濁富不若為清貧,以憂生不若以楽死。
書き下し
濁富を爲すは淸貧を爲すに若かず、憂へて以て生くるは樂しみて以て死するに若かず。
現代語訳
汚れた手段で富むより、清らかに貧しくあるほうがよいのです。憂えながら生きるより、楽しみながら死ぬほうがよいのです。
解説
富と貧、生と死を対にして、生き方の優先順位を示した対句です。濁富は不正や卑しい手段で得た富、清貧は正しさを保ったうえでの貧しさです。後半の、憂えて生きるより楽しんで死ぬほうがよいという言い方は大胆ですが、長さより中身を重んじる姿勢の表れです。友人の李聖許は、理に従って生きれば憂えても憂えず、理に背いて死ねば楽しんでも楽しくないと、筋道の話に引き戻しています。一方で呉野人は正直に、自分はむしろ濁富がいいと言い、張竹坡は清富になりたいが欲張りすぎかと笑っています。稼ぎ方を選ぶ潔さは、今の仕事にもそのまま問われます。
この章句が説くこと
清貧修身富貴処世生死
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