幽夢影 / 巻上・梅邊の石は古に宜し
梅邊之石宜古;松下之石宜拙;竹傍之石宜瘦;盆內之石宜巧。
新字:梅辺之石宜古;松下之石宜拙;竹傍之石宜痩;盆内之石宜巧。
書き下し
梅邊の石は古に宜しく、松下の石は拙に宜しく、竹傍の石は瘦に宜しく、盆内の石は巧に宜し。
現代語訳
梅のそばの石は古びた趣のあるものがよく、松の下の石は素朴でぶこつなものがよく、竹の傍らの石は痩せて細いものがよく、盆景の中の石は精巧な形のものがよいのです。
解説
庭の石の選び方を、組み合わせる植物ごとに説いた一則です。老木に花を咲かせる梅には、苔むした古びた石が似合います。どっしりした松の下には、飾り気のない素朴な石が合います。すらりとした竹の脇には、細く引き締まった石が映えます。小さな鉢の中に景色を作る盆景には、形の凝った精巧な石が向いています。中国の文人は奇石を愛し、石の姿を痩・皺・漏・透といった言葉で品定めしました。友人の周星遠は、ここまで石を論じれば人物を九つの品等に分ける九品中正の役人にもなれると褒めています。何を何と組み合わせるかで、それぞれの持ち味が生きもし死にもします。

人生を、一行の式にしてみた。
志×積×時×憤÷(1+執)+命。古典から導いた式『人生の方程式』と、二十四の悩みに古典が答える『人生の教科書』(PDF)、師導の全機能1か月がセットで700円です。
本の中身を見るこの章句が説くこと
風雅庭園調和審美自然
関連する章句
-
易経・乾卦大和なれば、乃ち貞に利あり。庶物に首出して、万国咸(ことごと)く寧(やす)し。象に曰く、
-
『十善法語』巻第七・不兩舌戒書経ニ。八音克諧。無相奪倫。神人以和ト云。史記ノ中。鄒忌子カ言ニ。琴音調而天下治ト云。隋煬帝ノトキ□或者カ宮声往テ復ラヌヲ聞テ。君ハ他国ニ没スヘシ。宮声ハ君ナリ。往テ復ラヌハ。他所ニ在テ命終ノ兆ナリト云タ。果シテ楊州ニ巡狩シテ。宇文化及ニ弑セラル。此類声韻律呂モ其趣アルト云コトシヤ。殷ノトキ比干殺サレ。箕子囚レテ国ノ亡ル。楚国ニ屈原放逐セラレテ漸ク衰フル。此等人ノ知ル通リシヤ。衛ノ霊公カ世子蒯職ヲ逐テ国乱ル。晋献公カ太子申生ヲ殺シテ。五世安カラス。泰伯ノ父ノ志ヲ見テ。吳ニ去テ周カ興ル。伯魚子思カ父祖ノ道ヲ守テ。孔氏カ永葉伝ル類。父子ノ道カクシヤ。
-
説苑・說叢鸞は鑣に設け、和は軾に設く。馬動きて鸞鳴り、鸞鳴りて和應ず、行の節なり。
-
論語・子路篇子曰わく、君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず。
-
『茶の本』第二章 茶の諸流・茶道は道教の仮りの姿茶室の調子を破る一点の色もなく、物のリズムをそこなうそよとの音もなく、調和を乱す一指の動きもなく、四囲の統一を破る一言も発せず、すべての行動を単純に自然に行なう――こういうのが、すなわち茶の湯の目的であった。そしていかにも不思議なことには、それがしばしば成功したのであった。そのすべての背後には微妙な哲理が潜んでいた。茶道は道教の仮りの姿であった。
-
『呻吟語』内篇・修身・太和の道に事へて以て自ら廣む聖人の道は、太和のみ。故に萬物皆な育す。便ち是れ秋冬も其の太和爲るを害せず。況んや太和又た未だ嘗て秋冬宇宙の間に在らずんばあらざるをや。余は性褊にして、弘度・平心・溫容・巽語無し。願はくは太和の道に事へて以て自ら廣めん。