幽夢影 / 巻上・色は花と相反すべし
養花膽瓶,其式之高低大小,須與花相稱。而色之淺深濃淡,又須與花相反。
新字:養花胆瓶,其式之高低大小,須与花相称。而色之浅深濃淡,又須与花相反。
書き下し
花を養ふの膽瓶は、其の式の高低大小、須らく花と相稱ふべし。而して色の淺深濃淡は、又須らく花と相反すべし。
現代語訳
花を生ける胆瓶(ふくらんだ形の花瓶)は、その形の高さや大きさは、花と釣り合っていなければなりません。しかし色の浅い深い、濃い淡いは、反対に花と対照的でなければなりません。
解説
花を生ける器の選び方を、形と色の二つの原則で説いた一則です。胆瓶は胴がふくらみ首の細い、胆嚢の形に似た花瓶のことです。形や大きさは花とそろえて全体の調和をとり、色はあえて花と反対にして、花の色を引き立てるというのです。淡い花には濃い器、濃い花には淡い器というわけです。友人の程穆倩は、明の袁宏道が生け花の心得を書いた瓶史に足りなかったところを補うものだと褒めています。王宓草は、反対にするのはまさに釣り合わせたいからだと喝破しています。似たものでそろえる調和と、違うもので引き立てる調和の両方を使い分けるのは、人の組み合わせにも通じる工夫です。
この章句が説くこと
風雅調和花審美対比
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