幽夢影 / 巻上・其の製日に工みに其の價日に賤し
天下器玩之類,其製日工,其價日賤,毋惑乎民之貧也。
新字:天下器玩之類,其製日工,其価日賤,毋惑乎民之貧也。
書き下し
天下の器玩の類、其の製日に工みに、其の價日に賤し、民の貧しきを惑ふこと毋かれ。
現代語訳
世の中の器物や玩具のたぐいは、その作りは日ごとに精巧になり、その値段は日ごとに安くなっています。民が貧しいのも不思議ではありません。
解説
物の値打ちと作り手の暮らしの関係を鋭く突いた一則です。道具や工芸品の作りがどんどん精巧になるのに、値段はどんどん下がっていくのは、作り手が安い手間賃で腕をふるうしかないからです。張潮はそこに、民の貧しさの原因を見ています。器玩は日用の器や飾り物、玩具のことです。友人の張竹坡は、民が貧しいからこそますます精巧になり、ますます安くなるのであって、貧しくなければどうして安く売ろうとするだろうかと、因果を逆から説いています。良いものが安く手に入る陰に、誰の暮らしがあるのかを思うことは、今の買い物や価格づけにも通じる問いです。

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本の中身を見るこの章句が説くこと
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『新論』國體下夫れ武人土を離るれば、其の勢多く卒を養ふを得ず。故に間民を市井に雇ひて、以て騶従に充て工役に供す。間民都城に充斥し、緩急用ゐるべからずして、坐して粱肉に飽く。其の冗為るや大なり。天下の仏寺殆ど五十万、僧尼及び奴隷を通計すれば、其の幾百万なるを知らず。(唐の傅奕高祖に上書して言ふ、僧尼をして匹配せしめば、即ち十余万戸と云云。武宗仏寺を廃し、其の上都及び東都は二寺を留め、節鎮は各々一寺を留め、寺四千六百余区、招提蘭若四万余区を毀ち、僧尼の帰俗する者二十六万五百人、良田数千万頃、奴婢十五万人を収む。之に拠れば則ち唐国の土地の大にして、其の仏寺の多き、神州の十分の一に及ばず。然るに時人尚ほ以て夥しと為す。則ち神州の仏寺も亦盛んなりと謂ふべし。)
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