幽夢影 / 巻上・皆人間の樂事を極む
并頭聯句,交頸論文,宮中應制,歷使屬國,皆極人間樂事。
新字:并頭聯句,交頸論文,宮中応制,歴使属国,皆極人間楽事。
書き下し
頭を并べて句を聯ね、頸を交へて文を論じ、宮中に制に應じ、歷く屬國に使ひす、皆人間の樂事を極む。
現代語訳
頭を並べて聯句を作り、首を寄せ合って文章を論じ、宮中で天子の命に応じて詩を作り、属国を次々と使者として巡る、これらはどれも人の世の楽しみの極みです。
解説
文人にとって最高の楽しみを四つ挙げた一則です。前の二つは、親しい人、とくに気の合う妻と頭を寄せて聯句を作り、文章を論じ合う私的な喜びです。聯句は数人で一句ずつ詠み継いで一首を作る遊びです。後の二つは、天子の命で詩を奉る応制と、国の使者として外国を巡る公の栄誉です。家の中の楽しみと朝廷での晴れ舞台とが並べられています。友人の狄立人は、頭を並べ首を寄せ合っていたら聯句や論文どころではないだろうと茶化しています。汪舟次は、使者として属国を巡るのは決してたやすくないと冷静に添えています。私の喜びと公の喜びの両方を持てる人生は、たしかに豊かです。
この章句が説くこと
風雅夫婦詩文交友栄誉
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