幽夢影 / 巻上・一歳の諸節は上元を第一と爲す
一歳諸節,以上元爲第一,中秋次之,五日、九日又次之。
新字:一歳諸節,以上元為第一,中秋次之,五日、九日又次之。
書き下し
一歳の諸節は、上元を以て第一と爲し、中秋之に次ぎ、五日・九日又之に次ぐ。
現代語訳
一年の節句の中では、上元(正月十五日)が第一で、中秋(八月十五日)がその次、五月五日と九月九日がさらにその次です。
解説
一年の年中行事に順位をつけた一則です。上元は正月十五日の元宵節で、灯籠を飾って町中がにぎわう、華やかな夜の祭りです。中秋は八月十五日の月見、五日は端午の節句、九日は重陽の節句です。張潮は人の集まる華やかさを持つ上元を筆頭に置きました。友人の顧天石は、上元を中秋の上に置くのは、まだ華やかなものへの好みが抜けていない証拠だと冷やかしています。一方、張竹坡は、一年のうちでは自分の心が晴れ晴れした日こそ佳節とすべきだと言います。暦の決まった祝日だけでなく、自分にとっての特別な日を大切にするのも、暮らしを豊かにする工夫です。
この章句が説くこと
四季風雅年中行事閑適祝祭
関連する章句
-
『幽夢影』巻上・上元には須らく豪友を酌むべし上元には須らく豪友を酌むべし、端午には須らく麗友を酌むべし、七夕には須らく韻友を酌むべし、中秋には須らく淡友を酌むべし、重九には須らく逸友を酌むべし。
-
『幽夢影』巻上・夏を以て三餘と爲すべし古人は冬を以て三餘と爲す。予謂へらく、當に夏を以て三餘と爲すべし。晨に起くるは、夜の餘なり。夜に坐するは、晝の餘なり。午に睡るは、人事に應酬するの餘なり。古人の詩に云ふ、「我は夏日の長きを愛す」と。洵に誣ひざるなり。
-
『幽夢影』巻上・書を雨師に致さんと欲す吾書を雨師に致さんと欲す。春雨は、宜しく上元節の後(燈を觀ること已に畢る)に始まり、淸明の十日前の内(雨止みて桃開く)に至り、及び穀雨の節中なるべし。夏雨は、宜しく每月の上弦の前、及び下弦の後(月を礙ぐるを免る)なるべし。秋雨は、宜しく孟秋・季秋の上下二旬(八月は月を玩ぶ勝境爲り)なるべし。三冬に至るが若きは、正に必ずしも雨ふらざるべし。
-
『幽夢影』巻上・春雨は讀書に宜し春雨は讀書に宜しく、夏雨は弈棋に宜しく、秋雨は檢藏に宜しく、冬雨は飲酒に宜し。
-
『幽夢影』巻下・書有れば必ず當に讀むべし天下に書無ければ則ち已む、有れば則ち必ず當に讀むべし。酒無ければ則ち已む、有れば則ち必ず當に飲むべし。名山無ければ則ち已む、有れば則ち必ず當に遊ぶべし。花月無ければ則ち已む、有れば則ち必ず當に賞玩すべし。才子佳人無ければ則ち已む、有れば則ち必ず當に愛慕憐惜すべし。
-
『幽夢影』巻上・新月は其の沈み易きを恨む新月は其の沈み易きを恨み、缺月は其の上ること遲きを恨む。