幽夢影 / 巻上・新月は其の沈み易きを恨む
新月恨其易沉,缺月恨其遲上。
新字:新月恨其易沈,欠月恨其遅上。
書き下し
新月は其の沈み易きを恨み、缺月は其の上ること遲きを恨む。
現代語訳
新月(宵の三日月)は、すぐに沈んでしまうのが恨めしく、欠けてゆく月は、昇ってくるのが遅いのが恨めしいものです。
解説
月を愛する人の、ささやかな恨みを対にした一句です。新月はここでは月初めの細い月のことで、日没後まもなく西の空に沈んでしまいます。反対に満月を過ぎて欠けてゆく月は、夜が更けてからようやく昇ってきます。どちらも、見たいときにゆっくり見られないもどかしさです。友人の冒青若は、天の道は満ちることを嫌うのだから、沈むのも遅いのも恨まないでくださいとなだめています。張竹坡は、沈みやすさと昇る遅さに君子の出処進退を占えると言います。思いどおりにならない時間も、月の満ち欠けのように受け止めたいものです。
この章句が説くこと
風雅自然月忍無常
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