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維摩経 / 文殊師利問疾品第五(3)

爾時文殊師利問維摩詰言。菩薩應云何慰喻有疾菩薩。維摩詰言。說身無常不說厭離於身。說身有苦不說樂於涅槃。說身無我而說教導眾生。說身空寂不說畢竟寂滅。說悔先罪而不說入。於過去。以己之疾愍於彼疾。當識宿世無數劫苦。當念饒益一切眾生憶所修福。念於淨命。勿生憂惱常起精進。當作醫王療治眾病。菩薩應如是慰喻有疾菩薩令其歡喜。

新字:爾時文殊師利問維摩詰言。菩薩応云何慰喩有疾菩薩。維摩詰言。説身無常不説厭離於身。説身有苦不説楽於涅槃。説身無我而説教導衆生。説身空寂不説畢竟寂滅。説悔先罪而不説入。於過去。以己之疾愍於彼疾。当識宿世無数劫苦。当念饒益一切衆生憶所修福。念於浄命。勿生憂悩常起精進。当作医王療治衆病。菩薩応如是慰喩有疾菩薩令其歓喜。

書き下し

爾の時、文殊師利、維摩詰に問いて言わく、「菩薩は応に云何が有疾の菩薩を慰喩すべき」と。維摩詰言わく、「身の無常を説きて、身を厭離することを説かず。身に苦有りと説きて、涅槃を楽しむことを説かず。身の無我を説きて、而も衆生を教導することを説く。身の空寂を説きて、畢竟寂滅を説かず。先の罪を悔ゆることを説きて、而も過去に入ることを説かず。己の疾を以て彼の疾を愍れみ、当に宿世無数劫の苦を識るべし。当に一切衆生を饒益することを念じ、修むる所の福を憶い、浄命を念じ、憂悩を生ずること勿く、常に精進を起こすべし。当に医王と作りて衆病を療治すべし。菩薩は応に是の如く有疾の菩薩を慰喩して、其をして歓喜せしむべし」と。

現代語訳

そのとき文殊師利は維摩詰に尋ねました。「菩薩は、病気の菩薩をどのように慰め諭せばよいのですか。」維摩詰は言いました。「身体が無常であることは説いても、身体を厭い離れることは説きません。身体に苦があることは説いても、涅槃を楽しむことは説きません。身体に我がないことは説いても、同時に衆生を教え導くことを説きます。身体が空であり静まっていることは説いても、完全に滅し尽くすことは説きません。先の罪を悔いることは説いても、過去に沈み込むことは説きません。自分の病をもって他の人の病を思いやり、遠い過去世からの数えきれない苦しみを思い知るべきです。すべての衆生に利益を与えることを心に念じ、自分が修めてきた福徳を思い起こし、清らかな生活を念じて、憂いや悩みを生じさせず、常に努力を起こしなさい。医師の王となって、多くの病を治しなさい。菩薩はこのようにして病気の菩薩を慰め諭し、その人を喜ばせるべきです。」

解説

病んでいる人をどう励ますかを説く節です。維摩詰は、身体の無常や苦を説いても、そこから逃げたり、すべてを捨てたりする方向へ導いてはならないと言います。自分の病を、他者の病への共感に変えるという道筋が示されます。慰めに、現実を否定する楽観や、諦めを勧める悲観のどちらも使わない点が特徴です。休職者や心身の不調を抱える部下への声かけにも通じます。苦しさを認めながら、その人が持つ力と役割を思い出させる励まし方として読めます。
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この章句が説くこと

慰喩無常精進医王共感浄命

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