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養生訓 / 巻第五・五官

是目と齒とをたもつ良法なり。こゝろみて其しるしを得たる人多し。予も亦此法によりて、久しく行ふゆゑ、其しるしに、今八十三歲にいたりて、猶夜細字を書き讀み、牙齒固くして一もおちず、目と齒に病なし。每朝かくのごとくすれば、久しくして後は、ならひてむづかしからず。牙杖にて牙齒をみがく事を用ひず。

新字:是目と歯とをたもつ良法なり。こゝろみて其しるしを得たる人多し。予も亦此法によりて、久しく行ふゆゑ、其しるしに、今八十三歳にいたりて、猶夜細字を書き読み、牙歯固くして一もおちず、目と歯に病なし。毎朝かくのごとくすれば、久しくして後は、ならひてむづかしからず。牙杖にて牙歯をみがく事を用ひず。

書き下し

是目と歯とをたもつ良法なり。こころみて其しるしを得たる人多し。予も亦此法によりて、久しく行ふゆゑ、其しるしに、今八十三歳にいたりて、猶夜細字を書き読み、牙歯固くして一もおちず、目と歯に病なし。毎朝かくのごとくすれば、久しくして後は、ならひてむづかしからず。牙杖にて牙歯をみがく事を用ひず。

現代語訳

これは目と歯を保つよい方法です。試みてその効き目を得た人は多いのです。私もまたこの方法によって長く行ってきたので、その効き目として、今八十三歳になっても、なお夜に細かい字を書いたり読んだりし、歯は固くて一本も抜けず、目にも歯にも病がありません。毎朝このようにすれば、しばらくたった後は、慣れて面倒ではなくなります。楊枝で歯を磨くことはしません。

解説

前の単位の方法について、益軒自身の体験を証として示した条です。八十三歳で夜に細字を読み書きし、歯は一本も抜けていないという言葉は、『養生訓』執筆当時の益軒の健康ぶりをうかがわせる貴重な自己証言です。また、はじめは面倒でも続ければ慣れて苦にならなくなるという指摘は、あらゆる習慣づくりに通じる真理です。健康法の良し悪しを他人の説だけでなく自分の体で確かめ、その結果を率直に書き記すところに、実証を重んじる益軒の姿勢が表れています。

この章句が説くこと

歯目習慣長寿実証

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