養生訓 / 巻第四・飲食下
一萊菔、菘薯蕷、芋、慈姑、胡蘿蔔、南瓜、大葱白等の甘き菜は、大に切りて煮食すれば、つかへて氣をふさぎ、腹痛す。薄く切るべし。或は辛き物をくはへ、又物により、酢を少し加ふるもよし。再び煮る事を右に記せり。又如此の物、一時に二三品くらふべからず。又甘き菜の類、およそつかへやすき物、つゞけ食ふべからず。生魚肥肉、厚味の物、つゞけ食ふべからず。
新字:一萊菔、菘薯蕷、芋、慈姑、胡蘿蔔、南瓜、大葱白等の甘き菜は、大に切りて煮食すれば、つかへて気をふさぎ、腹痛す。薄く切るべし。或は辛き物をくはへ、又物により、酢を少し加ふるもよし。再び煮る事を右に記せり。又如此の物、一時に二三品くらふべからず。又甘き菜の類、およそつかへやすき物、つゞけ食ふべからず。生魚肥肉、厚味の物、つゞけ食ふべからず。
書き下し
一萊菔、菘薯蕷、芋、慈姑、胡蘿蔔、南瓜、大葱白等の甘き菜は、大に切りて煮食すれば、つかへて気をふさぎ、腹痛す。薄く切るべし。或は辛き物をくはへ、又物により、酢を少し加ふるもよし。再び煮る事を右に記せり。又如此の物、一時に二三品くらふべからず。又甘き菜の類、およそつかへやすき物、つづけ食ふべからず。生魚肥肉、厚味の物、つづけ食ふべからず。
現代語訳
大根、菘、山芋、里芋、慈姑、人参、南瓜、太い葱の白い所などの甘い野菜は、大きく切って煮て食べると、胃につかえて気をふさぎ、腹痛をおこします。薄く切るべきです。あるいは辛い物を加え、また物によっては酢を少し加えるのもよいでしょう。二度煮することは前に記しました。またこのような物を一度に二、三品食べてはいけません。また甘い野菜の類や、総じてつかえやすい物は、続けて食べてはいけません。生魚や脂の多い肉、濃い味の物も、続けて食べてはいけません。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『養生訓』巻第四・飲食下一蘿蔔は菜中の上品なり。つねに食ふべし。葉のこはきを去り、やはらかなる葉と根と、豆豉にて煮、熟して食ふ。脾を補ひ、痰を去り、気をめぐらす。大根の生しく辛きを食すれば気へる。然れども、食滞ある時は、少し食して害なし。
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『養生訓』巻第三・飲食上一脾虚の人は、生魚をあぶりて食するに宜し。煮たるよりつかへず。小魚は煮て食するに宜し。大なる生魚はあぶりて食ひ、或は煎酒を熱くして、生薑わさびなど加へ、浸し食すれば害なし。一大魚は小魚より油多くつかへやすし。脾虚の人は多食すべからず。薄く切りて食へばつかへず。大なる鯉、鮒大に切り、或は全身を煮たるは、気をふさぐ、うすく切るべし。蘿蔔、胡蘿蔔、南瓜、菘根なども、大に厚く切りて煮たるは、つかへやすし。薄く切りて煮るべし。
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『養生訓』巻第四・飲食下一炙肉すでに炙りて、又熱湯に少しひたし、水毒を去りて食ふべし。不然ば津液をかわかす。又能く喉痹を発す。一茄子、本草等の書に、性不好と云ふ。生なるは毒あり、食ふべからず。煮たるも、瘧痢傷寒などには誠に忌むべし。他病には、皮を去り、切りて米泔に浸し、一夜か半日を歴て、やはらかに煮て食す、害なし。葛粉、水に溲ねて、切りて線条とし、水にて煮又豉汁に堅魚の末を加へ、再び煮て食す。瀉を止め胃を補ふ。保養に益あり。一胃虚弱の人は、蘿蔔、胡蘿蔔、芋、薯蕷、牛蒡など、うすく切りてよく煮たる、食ふべし。大にあつく切りたると、煮ていまだ熟せざると、皆脾胃をやぶる。一度うす豆豉か薄じやうゆにて煮、其汁にひたし置き、半日か一夜か間置きて、再び前の汁にて煮れば、大に切りたるも害なし、味よし。鶏肉、野猪肉なども如此すべし。
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『養生訓』巻第三・飲食上一脾胃虚して生菜を忌む人は、乾菜を煮食ふべし。冬月蘿蔔をうすく切りて、生ながら日に乾す。蓮根、牛蒡、薯蕷、うどの根、いづれもうすく切りて煑てほす。椎蕈、松露、石茸も、乾したるよし。松蕈、塩漬よし。壺盧切りて塩に一夜つけ、おしをかけ置きて、ほしたるがよし。瓠畜もよし。白芋の茎、熱湯をかけ日にほす。是皆虚人の食するに宜し。枸杞、五加、莧菊蘿摩、鼓子花葉など、わか葉をむし、煑てほしたるをあつ物とし、味噌にてあへ物とす。菊花は生にてほす。皆虚人に宜し。老葉はこはし。海菜は冷性なり。老人虚人に宜しからず。昆布多く食へば気をふさぐ。
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『養生訓』巻第四・飲食下一多く食ふべからざる物。諸餻餌、糉、寒具、冷麺、麪類、饅頭、河漏、砂糖、醴焼酒、赤小豆、酢、豆油、鰤魚、泥鰌、蛤蜊、鰻鱺魚、鰕章魚、烏賊、鯖魚、並同鰤魚、塩辛、海鰌、生萊菔、胡蘿蔔、薯蕷、菘根、蕪菁、油膩の物、肥濃の物。
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『養生訓』巻第四・飲食下一薑を八九月食へば、来春眼をうれふ。一豆腐、菎蒻、薯蕷、芋、慈姑、蓮根などの類、豆油にて煮たるもの、既に冷えて温ならざるは、食ふべからず。一暁の比、腹中鳴動し、食つかへて、腹中不快ば、朝食を減ずべし。気をふさぐ物、肉菓など食ふべからず、酒を飲むべからず。
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