養生訓 / 巻第四・飲食下
一蘿蔔は菜中の上品なり。つねに食ふべし。葉のこはきを去り、やはらかなる葉と根と、豆豉にて煮、熟して食ふ。脾を補ひ、痰を去り、氣をめぐらす。大根の生しく辛きを食すれば氣へる。然れども、食滯ある時は、少し食して害なし。
新字:一蘿蔔は菜中の上品なり。つねに食ふべし。葉のこはきを去り、やはらかなる葉と根と、豆豉にて煮、熟して食ふ。脾を補ひ、痰を去り、気をめぐらす。大根の生しく辛きを食すれば気へる。然れども、食滞ある時は、少し食して害なし。
書き下し
一蘿蔔は菜中の上品なり。つねに食ふべし。葉のこはきを去り、やはらかなる葉と根と、豆豉にて煮、熟して食ふ。脾を補ひ、痰を去り、気をめぐらす。大根の生しく辛きを食すれば気へる。然れども、食滞ある時は、少し食して害なし。
現代語訳
大根は野菜の中の上等なものです。いつも食べるのがよいでしょう。硬い葉を除き、やわらかい葉と根を豆豉で煮て、よく火を通して食べます。脾を補い、痰を除き、気をめぐらせます。生の大根の辛いものを食べると気が減ります。けれども、食べたものがとどこおっているときは、少し食べても害はありません。
解説
大根を日常の野菜の筆頭に挙げ、煮て食べることを勧めた短い条です。脾を補い痰を去り気をめぐらすという効能は、当時の本草の見方に基づくものです。一方で生の辛い大根は気を減らすとしつつ、消化不良のときには少量なら助けになると、使い分けまで示しているのが益軒らしい実際的なところです。身近で安価な食材を、体調に合わせて調理法を変えながら上手に使うという姿勢は、毎日の食卓づくりにそのまま生かせる考え方です。
この章句が説くこと
大根脾胃野菜調理養生
関連する章句
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