養生訓 / 巻第二・総論下
一日長き時も晝臥すべからず。日永き故、夜に入りて、人により、もし體力疲れて、早くねぶることをうれへば、晩食の後、身を勞動し歩行し、日入の時より臥して體氣をやすめてよし。臥しても、必ず睡るべからず、ねぶれば甚害あり。久しく臥すべからず、秉燭の比おきて坐すべし。かくのごとくすれば、夜間體に力ありて、ねぶり早く生ぜず。もし日入の時より臥さゞるは尤よし。
新字:一日長き時も昼臥すべからず。日永き故、夜に入りて、人により、もし体力疲れて、早くねぶることをうれへば、晩食の後、身を労動し歩行し、日入の時より臥して体気をやすめてよし。臥しても、必ず睡るべからず、ねぶれば甚害あり。久しく臥すべからず、秉燭の比おきて坐すべし。かくのごとくすれば、夜間体に力ありて、ねぶり早く生ぜず。もし日入の時より臥さゞるは尤よし。
書き下し
一日長き時も昼臥すべからず。日永き故、夜に入りて、人により、もし体力疲れて、早くねぶることをうれへば、晩食の後、身を労動し歩行し、日入の時より臥して体気をやすめてよし。臥しても、必ず睡るべからず、ねぶれば甚害あり。久しく臥すべからず、秉燭の比おきて坐すべし。かくのごとくすれば、夜間体に力ありて、ねぶり早く生ぜず。もし日入の時より臥さざるは尤よし。
現代語訳
日の長い季節でも昼に横になってはいけません。日が長いために、夜になって人によっては体が疲れて早く眠くなるのが心配なら、夕食の後に体を動かして歩き、日の入りのころから横になって体の気を休めるのがよいでしょう。横になっても決して眠ってはいけません。眠ると大いに害があります。長く横になってはならず、灯をともすころには起きて座りなさい。このようにすれば、夜の間も体に力があり、眠気が早く起こりません。日の入りのころから横にならずに済めば、それがいちばんよいのです。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『養生訓』巻第二・総論下一千金方に曰く、養生の道、久しく行き、久しく坐し、久しく臥し、久しく視ることなかれ。一酒食の気いまだ消化せざる内に、臥して睡れば、必ず酒食とどこほり、気ふさがりて病となる。いましむべし。昼は必ず臥すべからず。大に元気を損ふ。もし大につかれたらば、うしろに恁りかかりてねぶるべし。もし臥さば、かたはらに人をおきて少しねぶるべし。久しくねぶらば、人に呼びさまさしむべし。
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『養生訓』巻第二・総論下およそ人の身、慾をすくなくし、時々身をうごかし、手足をはたらかし歩行して、久しく一所に安坐せざれば、血気めぐりて滞らず。養生の要務なり。日々かくのごとくすべし。呂氏春秋に曰く、流水は腐らず、戸枢は螻まず、動けばなり、形気も亦然り。いふ意は、流水は腐らず、たまり水はくさる。から戸のぢくの下のくるるは虫くはず。此二のものは、つねに動く故わざはひなし。人の身も亦かくの如し。一所に久しく安坐してうごかざれば、飲食とどこほり、血気めぐらずして病を生ず。食後に臥すと、昼臥すと、尤禁ずべし。夜も飲食の消化せざる内に早く臥せば、気をふさぎ病を生ず。是養生の道において尤いむべし。
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『養生訓』巻第三・飲食上一外にのぞんで、食滞り痰ふさがらば、少し消導の薬をのむべし。夜臥して、痰のんどにふさがるは、おそるべし。一日短き時、昼の間、点心食ふべからず。日永き時も、昼は多く食はざるが宜し。一晩食は、朝食より少くすべし。飣肉も少きに宜し。
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『養生訓』巻第二・総論下一飲食は身を養ひ、ねぶり臥すは気を養ふ。しかれども、飲食節に過ぐれば脾胃をそこなふ。ねぶり臥す事時ならざれば元気をそこなふ。此二は、身を養はんとして、かへつて身をそこなふ。よく生を養ふ人は、つとに起きよはに寝ねて、昼いねず、常にわざをつとめて怠らず、ねぶり臥す事をすくなくして神気をいさぎよくし、飲食をすくなくして腹中を清虚にす。かくのごとくなれば、元気よくめぐり、ふさがらずして病生ぜず。発生の気其養を得て、血気おのづからさかんにして病なし。是寝食の二の節に当れるは、また養生の要なり。
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『養生訓』巻第六・慎病一夏は発生の気いよいよさかんにして、汗もれ、人の肌膚大に開く故、外邪入りやすし。涼風に久しくあたるべからず、沐浴の後風に当るべからず。且夏は伏陰とて陰気かくれて腹中にある故、食物の消化する事おそし。多く飲食すべからず。温なる物を食ひて、脾胃をあたたむべし。冷水を飲むべからず。すべて生、冷の物を忌む。冷麺多く食ふべからず。虚人は尤泄瀉のうれひおそるべし。冷水に浴すべからず。暑甚しき時も、冷水を以て面目を洗へば眼を損ず、冷水にて手足洗ふべからず、睡中に扇にて人にあふがしむべからず、風にあたり臥すべからず、夜外に臥すべからず、夜外に久しく坐して、露気にあたるべからず、極暑の時も極めて涼しくすべからず、日に久しく曝せる熱物の上に坐すべからず。
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『養生訓』巻第一・総論上一養生の術は、つとむべき事をよくつとめて、身をうごかし、気をめぐらすをよしとす。つとむべき事をつとめずして、臥す事を好み、身をやすめおこたりて動かさざるは、甚養生に害あり。久しく安坐し、身を動さざれば、元気めぐらず、食気とどこほりて病おこる。殊に臥す事を好み、ねぶり多きを忌む。食後には必ず数百歩歩行して、気をめぐらし、食を消すべし。ねぶり臥すべからず。父母につかへて力をつくし、君につかへてまめやかにつとめ、朝は早くおき、夕はおそく寝ね、四民ともに我が家事をよくつとめておこたらず。士となれる人は、いとけなき時より、書をよみ、手を習ひ、礼楽をまなび、弓を射、馬にのり、武芸をならひて、身をうごかすべし。
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