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夜船閑話 / 本文

行者再び應さに此觀を成ずべし。彼の浸々として潤下する所の餘流積り湛へて暖め蘸すこと、恰も世の良醫の種々妙香の藥物を集め、是を煎湯して浴盤の中に盛り湛へて、我が臍輪已下を漬け蘸すが如し。此觀をなすとき、唯心所現の故に、鼻根乍ち希有の香氣を聞き、身根俄に妙好の輕觸を受く。身心調適なること、二三十歲の時には遙に勝れり。此時に當て積聚を消融し、腸胃を調和し、覺へず肌膚光澤を生ず。若其勤めて怠らずんば、何れの病か治せざらむ、何れの德かつまざらむ、何れの仙か成ぜざる、何れの道か成ぜざる。其功驗の遲速は、行人の進修の精麁に依るらくのみ。

新字:行者再び応さに此観を成ずべし。彼の浸々として潤下する所の余流積り湛へて暖め蘸すこと、恰も世の良医の種々妙香の薬物を集め、是を煎湯して浴盤の中に盛り湛へて、我が臍輪已下を漬け蘸すが如し。此観をなすとき、唯心所現の故に、鼻根乍ち希有の香気を聞き、身根俄に妙好の軽触を受く。身心調適なること、二三十歳の時には遥に勝れり。此時に当て積聚を消融し、腸胃を調和し、覚へず肌膚光沢を生ず。若其勤めて怠らずんば、何れの病か治せざらむ、何れの徳かつまざらむ、何れの仙か成ぜざる、何れの道か成ぜざる。其功験の遅速は、行人の進修の精麁に依るらくのみ。

書き下し

行者再び応さに此観を成ずべし。彼の浸々として潤下する所の余流積り湛へて暖め蘸すこと、恰も世の良医の種々妙香の薬物を集め、是を煎湯して浴盤の中に盛り湛へて、我が臍輪已下を漬け蘸すが如し。此観をなすとき、唯心所現の故に、鼻根乍ち希有の香気を聞き、身根俄に妙好の軽触を受く。身心調適なること、二三十歳の時には遥に勝れり。此時に当て積聚を消融し、腸胃を調和し、覚へず肌膚光沢を生ず。若其勤めて怠らずんば、何れの病か治せざらむ、何れの徳かつまざらむ、何れの仙か成ぜざる、何れの道か成ぜざる。其功験の遅速は、行人の進修の精麁に依るらくのみ。

現代語訳

修行者は、もう一度このように観じなさい。あのじわじわと潤いながら流れ降りた残りが、積もり満ちて体を温め浸すことは、ちょうど世の名医がさまざまな妙なる香りの薬を集めて煎じ、それを湯船の中に満たして、自分の臍から下を浸しているようである。この観をなすとき、ただ心の現すところであるから、鼻にはたちまちまれな香りがし、体にはにわかに妙なる柔らかな感触を受ける。身も心もほどよく整うことは、二、三十歳のころよりはるかに勝っている。このとき、腹のしこりは溶け、腸や胃は整い、知らず知らずのうちに肌につやが出てくる。もしこれを努めて怠らなければ、どんな病が治らないことがあろう、どんな徳が積もらないことがあろう、どんな仙境が成就しないことがあろう、どんな道が成就しないことがあろう。その効き目の早い遅いは、行う人の修めることの細かさ粗さによるだけである。

解説

軟酥の法の後半では、流れ落ちた温かいものが下半身に満ちて、薬湯に浸かっているような状態を思い描く。唯心所現、つまりすべては心が現すものだから、想像が香りや感触までもたらすのだという。効果の早い遅いは、実践の丁寧さ次第だと結ぶ。方法そのものより、どれだけ丁寧に続けるかが結果を分けるという指摘は、どんな技法にも当てはまる。想像の力を侮らず、細やかに取り組むことの価値を示している。
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この章句が説くこと

軟酥の法唯心所現想像力丁寧継続回復

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