夜船閑話 / 本文
此時人に尋ねて路頭を指すことを用ひず。只要す、尋常言語を省略して、爾の元氣を長養せんことを。是故に云ふ、目力を養ふ者は常に瞑し、耳根を養ふ者は常に飽き、心氣を養ふ者は常に默すと。
新字:此時人に尋ねて路頭を指すことを用ひず。只要す、尋常言語を省略して、爾の元気を長養せんことを。是故に云ふ、目力を養ふ者は常に瞑し、耳根を養ふ者は常に飽き、心気を養ふ者は常に黙すと。
書き下し
此時人に尋ねて路頭を指すことを用ひず。只要す、尋常言語を省略して、爾の元気を長養せんことを。是故に云ふ、目力を養ふ者は常に瞑し、耳根を養ふ者は常に飽き、心気を養ふ者は常に黙すと。
現代語訳
このときには、人に尋ねて道筋を示してもらう必要はない。ただ肝要なのは、ふだんから言葉を省いて、おまえの元気を長く養うことである。だからこう言われている。目の力を養う者は常に目を閉じ、耳を養う者は常に満ち足りて聞かず、心の気を養う者は常に黙っている、と。
解説
言葉を減らすことが元気を養う、という教えである。目を休ませる、余計な音を入れない、そして口数を減らす。情報や会話にさらされ続ける現代の生活では、この三つを意識的に取り戻すことが難しくなっている。人と話し続け、画面を見続け、音を浴び続けると、知らず知らずのうちに気が消耗していく。黙る時間を持つことは怠けではなく、心の力を蓄えるための営みだと教えてくれる一句である。
この章句が説くこと
沈黙元気休息情報言葉養生
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