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大和俗訓 / 巻之六・躬行上

一恩を報ふこと、人道の大節なり。禽獸は恩を知らず、恩を知るを以て人とす。恩を知らざるは、禽獸にひとし。是人と禽獸とわかるゝ所なり。是を以て、恩を報ずるは人道の大節なりといふこと、むべならずや。恩を知らば、必報ゆべし。知りて報ぜざるは、知らざるに同じ。恩を報ずるには、誠を以てすべし。

新字:一恩を報ふこと、人道の大節なり。禽獣は恩を知らず、恩を知るを以て人とす。恩を知らざるは、禽獣にひとし。是人と禽獣とわかるゝ所なり。是を以て、恩を報ずるは人道の大節なりといふこと、むべならずや。恩を知らば、必報ゆべし。知りて報ぜざるは、知らざるに同じ。恩を報ずるには、誠を以てすべし。

書き下し

一恩を報ふこと、人道の大節なり。禽獣は恩を知らず、恩を知るを以て人とす。恩を知らざるは、禽獣にひとし。是人と禽獣とわかるる所なり。是を以て、恩を報ずるは人道の大節なりといふこと、むべならずや。恩を知らば、必報ゆべし。知りて報ぜざるは、知らざるに同じ。恩を報ずるには、誠を以てすべし。

現代語訳

恩に報いることは、人の道の大きな節目です。鳥獣は恩を知りません。恩を知ることで人とします。恩を知らないのは、鳥獣と同じです。これが人と鳥獣の分かれるところです。ですから、恩に報いるのは人の道の大節だというのは、もっともではありませんか。恩を知ったなら、必ず報いなさい。知って報いないのは、知らないのと同じです。恩に報いるには、誠をもってしなさい。

解説

ここから恩についての連続した教えが始まります。恩を知り、恩に報いることこそ人を人たらしめるものだと益軒は言います。そして、恩を知っていても報いなければ知らないのと同じであり、報いるときは形式でなく誠意をもってせよと念を押します。お世話になった人へのお礼や、育ててくれた親への感謝は、つい後回しになりがちです。感謝の気持ちを心に持つだけでなく、言葉や行動で具体的に返すことの大切さを、改めて教えてくれる一条です。

この章句が説くこと

恩報恩誠人道感謝

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