尉繚子 / 兵教下
無喪其利、無奪其時、寛其政、夷其業、救其弊、則足以施天下。
書き下し
其の利を喪うこと無く、其の時を奪うこと無く、其の政を寛にし、其の業を夷らかにし、其の弊を救わば、則ち以て天下に施すに足る。
現代語訳
相手の利益を失わせず、相手の時間を奪わず、その政治をゆるやかにし、その仕事を平らかに保ち、その弊害を救ってやれば、それだけで天下に広く行き渡らせるに足りる。
解説
相手を新たに従える立場になったとき、それまでの利益や時間を奪わず、生活の負担を軽くし、抱えていた困りごとを解決してやることこそが、長く支持される道だと説く。これは征服や統合に限らず、合併や配置換えなど、立場が変わる場面すべてに通じる考え方である。変化を強いる側が相手の暮らしを尊重できるかどうかで、その変化が受け入れられるかが決まる。奪うのではなく整えることが、結局は一番効く。
この章句が説くこと
統治信頼配慮
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