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尉繚子 / 兵令下

士卒不用命者,未之聞也。

書き下し

士卒の命を用ひざる者は、未だ之を聞かざるなり。

現代語訳

(そのように統率された軍で)兵士が命令に従わないなどということは、いまだかつて聞いたことがない。

解説

兵令下篇の最後の句で、前段の「故に曰く」を受け、そうした統率のもとで士卒が命に従わないことは聞いたことがないと結ぶ。尉繚子全篇の締めくくりにあたる言葉であり、将が威を立て、号令を明らかにし、賞罰を必ず行い、什伍を連ねて互いに救わせれば、兵は必ず命を用いるという確信が込められている。天官時日よりも人事を、個人の勇よりも制度を重んじる本書の姿勢が、最後まで貫かれている。兵が命に従わないのは兵の罪ではなく、統率の仕組みが整っていないからだという含みも読み取れる。現代の組織に置き換えれば、メンバーが指示に従わないのは本人の資質より、指揮する側の威と信と仕組みの不足に原因があると考えるべきだという教えになる。

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